夏の記憶(踏切のある風景)

夏の記憶(踏切のある風景)

踏切はありふれた風景の一部ですが、周囲の街の景観が歳月と共に変わっても、その場所だけは昔から変わらない情景を留めているように思えます。
そして踏切は、ある種のメタファー(直喩)として、例えば映像表現の中でも見い出すことができます。
古い映画では1972年の「あゝ声なき友」の中で、主人公が最後に本音を吐露したのは、踏切の遮断機に足を止めていた時でした。
あるいは、2006年の「時をかける少女」では、踏切が最初のタイムリープ(時間跳躍)の契機となっていました。

歩み続けていた道程に一度立ち止まり、再び自ら一歩を踏み出すという象徴的なトポス(場所)として、踏切のある風景は心のどこかに記憶されているのかもしれません。

(補遺)
モデルさんが着用している学生服は実在の学校とは関係がなく、表現される世界観のイメージを補完する演出の一部です。