特美棟3階ホールからの風景 1981

特美棟3階ホールからの風景 1981

特美棟の3階のホールから南下に見渡す岡山市街の風景が好きでした。他人から見ればありふれた凡庸な風景の中でも、夕暮れに外灯が灯りはじめる頃には、少し滲んだ空気に包まれながらかけがえのない時間を過ごすことができました。
大学3年の大学祭が終わった頃のある日の夕方、勧められて大学から自転車ですぐの先輩の下宿に上がると、リズム&ブルースやブラックコンテンポラリーのレコードジャケットを畳いっぱいに広げて見せてくれました。
「なあ、知っとるか。この辺のレコードジャケットにはなぁ、必ず自分の顔写真を使っとるんやで」
そう言って夜中まで熱く語ってくれた先輩のことを思い出します。先輩が選曲して録ったベストテープを貸してほしいと頼んだら、これまでにない笑顔で、「これもええで、これもええで」と何本も貸してくれました。そのカセットテープにはウィスパーズやアールクルー、渡辺貞夫など、聴いたこともないような新鮮な演奏があふれていました。
あれから数十年たった今も、当時を思い出すと最初に流れてくるメロディは大抵決まっています。ウィルトン・フェルダーの L.A.light 。そして、アールクルーの pretty world 。

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